2011/12/21

これなら受かる! 『ネスペ22 (β版)』

高度情報処理技術者試験の参考書選びは難しい――。

IT パスポートや基本情報技術者のような万人向けの入門資格では、懇切丁寧な解説やかわいいイラストをふんだんに盛り込んだやさしい参考書が充実しており、受験者は自分にあった教材を選ぶ事ができます。

しかし、試験のレベルが高度化するにつれて、こうしたとっつきやすい参考書が減っていき、よく言えば質実剛健、悪く言えば無味乾燥な参考書ばかりになっていきます。受験層を考えれば致し方のない事かも知れませんが、正直、僕には少々きつい。

というわけで、前置きが長くなりましたが、久しぶりの書評ということで、本日は「本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説と合格のコツ」という副題のついた『ネスペ』シリーズをご紹介したいと思います。

『ネスペ22 β版』
この『ネスペ』シリーズは、まずβ版が(主に通販限定で)発売され、その後、増補改訂を経て正式版が全国の書店に並びます。

数あるネットワークスペシャリストの受験参考書の中でも、『ネスペ』シリーズは試験一回分、それも午後試験のみを徹底的に解説した特殊な構成になっている事が大きな特徴で、表紙には以下の注意書きがあります。
●ご購入時の注意事項
・ 向き不向きがあります
・ ある程度の基礎知識が必要です
・ H22年の午後解説のみです


個人的に読んでみて気になった点は、やはり大手出版社が発行する参考書と比較すると推敲が多少甘く、荒削りな文章が残っている事です。

とはいえ、多くの参考書が前年度版の解説をそのまま使い回しているのに対して、『ネスペ』シリーズはほとんど一から書き直されており、一回の出版にかかる労力がなまなかのものではない事は容易に想像がつきます。

その上、敢えて『β版』を出版するという事は、文章表現の質よりも速報性を重視する姿勢を貫いているのでしょう。

そういう意味では、確かに人を選ぶ本かも知れません。



【「問題」と「設問」の2本立て解説

『ネスペ』シリーズの特色は、設問とその解答の解説に先立ち、問題そのものの解説がなされる事です。

それはまるで、完成品のジグソーパズルを丁寧に分解しながら各ピースがどう組み合わさっていくのかを一つひとつ確認する作業に似ています。

独学では読解が困難な午後 II 試験の問題解説は特に有用です。読者が負担を感じないように、絶妙なタイミングで解説に移る構成は『ネスペ』シリーズの真骨頂でしょう。


また、問題を読んだ後、設問を理解して正解を導き出す行為は、持っている知識のピースを組み立てる作業に似ています。『ネスペ』シリーズでは、予め問題文をひととおり理解させるため、設問に入っても何を問われているのかが分かりやすい。

つまり、解説を2本立て構成にする事によって、
  • 複雑な問題を読み解く力
  • 知識を組み合わせて解答を作る力
の 2 つを効率的に身に付ける事ができるようになっているように思えます。

集中力が切れて問題文を流し読みしたり、漫然と問題を解いたりする事もなくなるでしょう。

これらは決して派手な受験テクニックではないかも知れませんが、正面突破のための強力な武器にはなります。



【意外と重要、メンタル面のアプローチ】

『ドラゴン桜』という漫画作品の中で、特進コースの担任・桜木が「東大は簡単だ」と生徒に言い聞かせます。それも自信満々に。何度も何度も。

実際、あれを読んで「僕でも東大にいけるかも!」と思ってしまった方もいらっしゃると思います。

同じように、『ネスペ22 β版』には、要所要所に「ネットワークスペシャリスト試験は恐くない」というメッセージが散りばめられています。

暗示にかかりやすい方なら、これを繰り返し読むだけでもネットワークスペシャリストが恐くなくなるから不思議。だんだん「僕でも受かりそう」と思えてきます。

ネットワークスペシャリストは一応難関資格。範囲は広いし難易度は高いしで、いくら勉強しても足りないという考えに囚われがちです。

でも、「午後 II なんて、ただの小問の集まり(p.146より)」という認識があれば、必要以上に懼れる事もなくなります。言われてみれば当たり前だけど言われるまで気付かないような些細な事でも、意識の中に定着すれば非常に大きな力になります。

『ネスペ』シリーズは、こうしたメンタル面のサポートが強く、不安の強い受験者を置き去りにしない配慮が感じられます。試験慣れしている方にとっては少しうるさく感じられるかも知れませんが、これも向き不向きの問題でしょう。



というわけで。

ご紹介した『ネスペ21』『ネスペ22 β版』は、ネットワークスペシャリスト受験の際に最も役に立った2冊でした。

ちなみに『ネスペ21』を初めて手に取った当時(2011年8月)は、正直「何が書いてあるのかさっぱり解らない」という絶望的なレベルでした。勉強を始めてみるとあまりにも役立ちすぎて、ライバルには教えたくないと思うようになったのはここだけの話です。

もし、ネットワークの午後対策で何から手をつけてよいのか判らず、途方に暮れている方がいらっしゃいましたら、書店で(もしくは通販で)チェックしてみてはいかがでしょうか。

2 件のコメント:

  1. ネットワークスペシャリストに楽々合格の管理人より

    はじめまして。
    われわれの本をお褒めいただき恐縮です。
    自費出版ということで、いろいろとご迷惑をおかけしておりますが、このようにコメントいただけてとてもうれしいです。

    長く続ける自信は全くありませんが、喜んでいただける読者の皆様に少しでもお応えできるようにがんばりたいと思います。

    ありがとうございました。

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    1. 「ネットワークスペシャリストに楽々合格」の管理人様、コメントありがとうございます。

      ネットワークスペシャリスト試験合格後、受験参考書の多くは売ってしまいましたが、貴著『ネスペ21』『ネスペ22 β版』だけはどうしても手元に残しておきたいと思い、古書店には持って行きませんでした。 それくらい私にとってかけがえのない2冊です。

      当時、実務経験ゼロの学生であった私が、2ヶ月間でネットワークスペシャリストの合格圏に到達できたのは、『ネスペ』との出会いがあったからだと思っております。

      素晴らしい本を世に出して頂き、本当にありがとうございました。

      「ネットワークスペシャリストに楽々合格」の管理人様のこれからの著述活動を陰ながら応援いたします。

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